全国の子育て支援まとめ|国・都道府県・市区町村の制度を総整理
子育てでもらえるお金や使える制度は、「国の制度(全国共通)」「都道府県の上乗せ」「市区町村の上乗せ」が重なり合ってできています。同じ年収・同じ家族構成でも、住む場所によって医療費の無料化年齢や保育料、給食費の扱いが変わるのはこのためです。この記事では、まず全国共通の国の制度を体系的に整理し、続いて都道府県・市区町村の上乗せの考え方と、東京都・明石市など有名な自治体の取り組みまでを、公的資料(こども家庭庁・厚生労働省・文部科学省ほか)をもとにまとめます。
子育て支援は「3階建て」で考える
制度を正しく理解する近道は、支援を3つの層に分けて見ることです。土台に全国共通の国の制度があり、その上に都道府県・市区町村の独自支援が積み上がります。
国の制度でも、児童手当や子育て関連の給付は住んでいる市区町村が窓口になることがほとんどです(出産育児一時金だけは加入している健康保険が窓口)。「国の制度だから自動でもらえる」とは限らず、多くは申請が必要です。まずは市区町村の子育て窓口で確認しましょう。
【国①】児童手当(2024年10月に大幅拡充)
子育て支援の中心が児童手当です。2024年10月分から制度が大きく拡充されました[政府広報オンライン]。
- 所得制限を撤廃(年収にかかわらず全世帯が対象に)
- 高校生年代まで延長(18歳到達後最初の3月31日まで)
- 第3子以降は月3万円に増額(多子のカウントは22歳年度末まで含める)
- 支給は偶数月の年6回(2か月分ずつ)に変更
| 子の年齢 | 第1子・第2子 | 第3子以降 |
|---|---|---|
| 0〜3歳未満 | 月1万5,000円 | 月3万円 |
| 3歳〜高校生年代 | 月1万円 | 月3万円 |
※毎月の給与から差し引かれる「子ども・子育て支援金」は、この拡充などの財源にあてられます。仕組みは子ども・子育て支援金の給与天引きで解説しています。
【国②】妊娠・出産でもらえるお金
出産そのものにも、まとまった給付があります。
- 出産育児一時金:公的医療保険の加入者が出産したとき、子ども1人につき原則50万円(2023年4月に42万円から増額)。多くは医療機関へ直接支払われる方式が使えます[厚生労働省]。
- 妊婦支援給付(出産・子育て応援給付):妊娠時に5万円、出生後に5万円の計10万円相当。実施方法は自治体ごとに異なります。
※会社員・公務員は、産前産後・育休中に健康保険から出産手当金が出る場合もあります。妊娠・出産のお金の全体像は出産・育児でもらえるお金まとめで詳しく解説しています。
【国③】幼児教育・保育の無償化
3歳から5歳までのすべての子どもと、住民税非課税世帯の0〜2歳の子どもについて、幼稚園・保育所・認定こども園などの利用料が無償になります[こども家庭庁]。
| 区分 | 無償化の内容 |
|---|---|
| 3〜5歳(全世帯) | 幼稚園・保育所・認定こども園の利用料が無償(認可外は月3.7万円まで) |
| 0〜2歳 | 住民税非課税世帯が無償(認可外は月4.2万円まで)。第2子は半額・第3子以降は無償 |
通園送迎費・食材料費・行事費などは無償化の対象外で、原則これまでどおり保護者負担です。ただし年収360万円未満相当の世帯と、すべての世帯の第3子以降は副食(おかず・おやつ)費が免除されます。なお、この給食費を独自に無償化している市区町村もあります(後述)。
【国④】高校の授業料(高等学校等就学支援金)
高校の授業料は、国の高等学校等就学支援金で支援されます。所得制限の撤廃が段階的に進んでいます[文部科学省]。
- 公立高校:2025年度から実質的に所得制限なしで授業料が無償相当(基準額 年11万8,800円)。
- 私立高校:2025年度は世帯年収約590万円未満で最大39万6,000円の加算。2026年度からは所得制限なしで支援の上限が年45万7,000円程度に引き上げられる予定です。
※入学金・施設整備費などの授業料以外の費用は引き続き必要です。東京都・大阪府は国に上乗せして独自に無償化を進めています(後述)。
【国⑤】育児休業給付・出生後休業支援給付金(2025年4月〜)
育児で仕事を休む間は、雇用保険から育児休業給付金(原則、休業前賃金の67%→181日目以降50%)が支給されます。さらに2025年4月から出生後休業支援給付金が始まりました[厚生労働省]。
子の出生直後の一定期間に、両親がそれぞれ14日以上の育児休業を取得すると、最大28日間、育児休業給付に出生後休業支援給付金を上乗せして休業前賃金の80%が支給されます。これらの給付が非課税であることや、育休中の社会保険料が免除されることを合わせると、手取りベースで約10割になります。
【国⑥】ひとり親への支援(児童扶養手当)
ひとり親家庭などには児童扶養手当があります。金額は物価に応じて毎年4月に改定され、全部支給で児童1人あたり月4万円台後半(2025年度は月46,690円)、第2子以降の加算もあります[こども家庭庁]。2024年11月分から第3子以降の加算が第2子と同額に引き上げられ、所得制限も緩和されました。最新の金額・所得制限はこども家庭庁の公表で確認してください。
※ひとり親には税の優遇(ひとり親控除)もあります。あわせてひとり親控除・寡婦控除などのまとめをご覧ください。
国の制度・早見まとめ
| 制度 | 主な内容 | 所管・窓口 |
|---|---|---|
| 児童手当 | 0歳〜高校生年代に月1万〜3万円・所得制限なし | 市区町村 |
| 出産育児一時金 | 子1人につき原則50万円 | 加入する健康保険 |
| 妊婦支援給付 | 妊娠時+出生後で計10万円相当 | 市区町村 |
| 幼児教育・保育の無償化 | 3〜5歳の利用料無償ほか | 市区町村 |
| 高校授業料(就学支援金) | 公立は実質無償、私立も拡充中 | 学校・都道府県 |
| 育児休業給付ほか | 育休中の所得補償・手取り約10割の上乗せ | ハローワーク(雇用保険) |
| 児童扶養手当 | ひとり親へ月4万円台後半ほか | 市区町村 |
【都道府県・市区町村】上乗せはどこで差がつくか
国の制度は全国共通ですが、ここに都道府県と市区町村が独自の上乗せをします。差が出やすいのは次のポイントです。
- こども医療費助成(無料になる年齢・所得制限・自己負担の有無)
- 給食費の無償化(小中学校)
- 保育料(第1子・第2子の独自無償化)
- 高校授業料の上乗せ(国の就学支援金に都府県が追加)
- 独自の出産祝い金・移住支援・在宅育児支援
子ども医療費・給食費・保育料などの上乗せは、都道府県単位ではなく市区町村単位で決まり、対象年齢や所得制限、自己負担額が毎年のように見直されます。本記事では代表的な傾向と有名な自治体を紹介しますが、実際の金額・条件は必ずお住まいの自治体の公式サイトで最新を確認してください。
こども医療費助成の全国像
子どもの医療費助成は47都道府県すべてが枠組みを設け、実際の運用は市区町村が行います。近年は18歳(高校卒業相当)の年度末まで・所得制限なし・自己負担ゼロに拡大する自治体が急増しています[こども家庭庁]。たとえば東京23区は全区が18歳年度末まで所得制限なしで助成、大阪市・札幌市なども18歳まで対象を広げています。一方で、対象年齢や通院・入院の扱い、自己負担の有無は自治体ごとに差があります。
地域ブロック別の傾向
大きな傾向をブロックごとに整理します(あくまで代表例で、同じブロック内でも自治体差があります)。
北海道・東北
札幌市など、医療費助成を高校生年代まで広げる自治体が拡大。出産祝い金や移住・定住支援を組み合わせる市町村が多い。
関東
東京都が018サポート・私立高授業料の実質無償化で先行。埼玉・千葉・神奈川も医療費を18歳まで助成する自治体が多数。詳細は首都圏比較の記事へ。
中部・北陸
愛知・静岡など人口の多い県で給食費無償化や第2子保育料の軽減が進む。子育て世帯の移住支援に力を入れる県も。
近畿
大阪府が高校授業料の完全無償化(所得制限なし)を実施。兵庫県明石市は「5つの無料化」で全国的なモデルに。
中国・四国
岡山県奈義町が高い出生率で知られ、大学卒業までを見据えた手厚い支援を展開。山間・離島では独自の定住支援も。
九州・沖縄
福岡・沖縄など、医療費助成や保育料軽減を進める自治体が多い。出生率が比較的高い地域で子育て環境を打ち出す。
※首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の詳しい比較は東京都の子育て支援と首都圏比較でまとめています。
有名な自治体の取り組み(深掘り)
子育て支援で全国的に注目される自治体を、具体的な内容とあわせて紹介します。いずれも制度は見直されるため、最新は各自治体の公式サイトで確認してください。
「5つの無料化」で10年連続人口増
所得制限なしで、すべての子どもにサービスを届ける方針が特徴です[明石市]。
- 18歳までの医療費が無料
- 第2子以降の保育料が無料(兄姉の年齢や市外施設も問わず)
- 満1歳までの「おむつ定期便」(毎月、子育て用品を自宅へ)
- 中学校の給食費が無料
- 公共施設(市民プール等)の親子利用料が無料
018サポートと授業料・給食費の無償化
都が市区町村に上乗せする独自策が手厚いのが特徴です[東京都 018サポート]。
- 018サポート:0〜18歳に1人月5,000円(年最大6万円)
- 私立高校の授業料を所得制限なしで実質無償化(都の上乗せ)
- 第1子の保育料無償化を都道府県で初めて実施
- 公立小中学校の給食費を都内全市町村で無償化
- 23区は18歳年度末まで医療費を所得制限なしで助成
「母になるなら、流山市。」共働き世帯に人気
共働き子育てのしやすさを前面に打ち出し、人口増加率が全国トップクラスに(2016〜2021年は6年連続で全国1位)。
- 駅前の送迎保育ステーション(保育園とバスで結び、朝夕の送迎を代行。低額で利用可能)
- 都心へのアクセスの良さと子育て環境を組み合わせたまちづくり
合計特殊出生率が高い「奇跡の町」
人口約6千人の町ながら、合計特殊出生率が一時2.9台に達したことで知られます[内閣府 地方創生]。
- 子どもの医療費・こども園・小中学校の給食費が無償
- 出産祝い金、在宅育児支援(月額の手当)
- 高校生世代への就学支援を独自に上乗せ
高校授業料の完全無償化と医療費の所得制限撤廃
府全体で高校授業料の無償化を段階的に拡大し、所得制限のない完全無償化を進めています。
- 大阪府:高校授業料を所得制限なしで無償化(国公立・私立を問わず、段階実施で全学年へ)
- 大阪市:こども医療費助成の所得制限を撤廃し、0〜18歳まで対象[大阪市]
自分の地域の支援を調べる手順
① まず本記事で国の制度(児童手当・一時金・無償化など)の全体像をつかむ
② お住まいの市区町村の公式サイトで「子育て支援」「医療費助成」「給食費」「保育料」を検索
③ 都道府県の公式サイトで高校授業料の上乗せや独自給付を確認
④ 引っ越しを検討中なら、転入予定先の医療費無料の年齢・所得制限・給食費を比較
⑤ 申請が必要な制度が多いので、出産・転入のたびに窓口で手続き漏れがないか確認する
児童手当の申請など、一部の子育て手続きはオンラインでも行えます。自治体の窓口に行く前に、必要書類や対象を公式サイトで確認しておくとスムーズです。
申請でつまずきやすい点
- 多くは申請主義:児童手当も、出生・転入の届け出と一緒に申請しないともらい始められません。
- 所得制限の有無は制度ごとに違う:児童手当は撤廃済みですが、自治体の独自給付には所得制限が残る場合があります。
- 引っ越しで条件が変わる:医療費無料の年齢や給食費の扱いは転居先の自治体に従います。転出・転入時は必ず手続きを。
- 年度で内容が変わる:無償化や上乗せは毎年のように拡充・見直しがあります。最新を公式で確認しましょう。
まとめ
よくある質問
子育て支援は国と自治体のどちらに申請する?
児童手当など多くの制度は、住んでいる市区町村が窓口です(出産育児一時金だけは加入している健康保険)。「国の制度だから自動」ではなく申請が必要なものが多いので、まず市区町村の子育て窓口で確認しましょう。
児童手当は2024年10月から何が変わった?
所得制限が撤廃され、対象が高校生年代まで延長されました。第3子以降は月3万円に増額され、支給は偶数月の年6回(2か月分ずつ)に変わりました。
同じ年収でも住む場所で支援が違う?
違います。子どもの医療費が無料になる年齢、給食費や保育料の扱い、独自の給付は市区町村ごとに差があります。引っ越し前に各自治体の公式サイトで比較するのがおすすめです。
高校の授業料は無償になる?
国の就学支援金で公立は2025年度から実質無償です。私立は2025年度に所得制限が実質撤廃され、2026年度からは所得制限なしで支援上限が年45万7,000円程度に拡充される予定です。東京都・大阪府は独自に上乗せしています。
共働きで育休をとると手取りはどうなる?
2025年4月開始の出生後休業支援給付金により、両親がそれぞれ一定期間(14日以上)育休を取ると、最大28日間は育児休業給付と合わせて休業前賃金の80%が支給され、非課税・社会保険料免除を含めると手取り約10割になります。
参考リンク(出典)
本記事は次の公的資料をもとに作成しています(中立・一次情報)。金額・対象は改正されるため、申請前に最新の内容をご確認ください。自治体の独自支援は各市区町村・都道府県の公式サイトが最新です。
- 政府広報オンライン 児童手当(2024年10月拡充)
- 厚生労働省 出産育児一時金
- こども家庭庁 幼児教育・保育の無償化の概要
- 文部科学省 高校生等への修学支援(就学支援金)
- 厚生労働省 出生後休業支援給付金
- こども家庭庁 児童扶養手当
- 東京都 018サポート
- 兵庫県明石市 子育て支援(無償化)
- 大阪市 こども医療費助成
※本記事は一般的な情報提供であり、税務・行政手続きのアドバイスではありません。個別の支援の対象可否や金額は、お住まいの市区町村・都道府県、または各制度の所管にご確認ください。







