年末調整ガイド

何を・いつ・どこに提出するか、申告書の書き方まで完全解説。

扶養控除・生命保険料控除・iDeCo・住宅ローン控除など、年末調整で申告できるすべての控除と書類の書き方を、会社員向けにわかりやすくまとめました。

令和8年分(2026年12月に行う年末調整)はここが変わった

令和8年度税制改正で基礎控除が引き上げられ、給与所得控除の最低保障額も65万円から74万円になりました。扶養親族・同一生計配偶者の所得要件は合計所得62万円以下(給与収入136万円以下)になり、これまでの「123万円の壁」は「136万円の壁」に変わります。改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年12月に行う年末調整から適用されます(令和8年11月までの毎月の源泉徴収は変わりません)[国税庁 基礎控除の引上げ等]。

年末調整とは?

年末調整とは、1年間(1月〜12月)に毎月の給与から概算で差し引かれた源泉所得税を、実際の年間所得税額と照らし合わせて精算する手続きです。多くの場合、払いすぎた税金が12月の給与に上乗せして還付されます。

書類提出時期

毎年11月初旬〜12月初旬頃に会社から配布される。締め切りは会社ごとに異なる。

手続きは会社が代行

提出書類を会社に渡すだけで、税額の計算・精算は会社の担当者(または税理士)が行う。

精算のタイミング

通常12月の給与または1月の給与で還付・追徴が行われる。

翌年1月に源泉徴収票

年末調整が完了すると、1〜2月に源泉徴収票が発行される。確定申告や住宅ローン申請に使う。

なぜ払いすぎが発生するのか?

毎月の源泉徴収(概算)
給与収入(年収÷12)
概算の源泉税
(扶養だけ考慮・各種控除は未計上)
手取り
→
年末に
精算
年末調整後(正確な計算)
給与収入(年間合計)
正確な所得税
(生保・iDeCo・配偶者等を全て控除)
手取り
(差額が12月に還付)
年末調整の計算の流れ
給与収入(年間)
-
給与所得控除
=
給与所得
-
所得控除合計
(基礎・社保・生保 等)
=
課税所得
×
税率
-
税額控除
(住宅ローン等)
=
年間所得税額

※ 年間所得税額が、毎月の源泉徴収の合計より少なければ「還付」、多ければ「追徴」になります。

年末調整でできないこと(確定申告が必要)

医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ外)・住宅ローン控除の初年度・副業所得20万円超などは年末調整では処理できません。これらは翌年2〜3月の確定申告で申告する必要があります。

提出する申告書の種類

年末調整では主に3種類の申告書を会社に提出します。それぞれ記入する内容が異なるため、自分に関係するものを確認しましょう。

①
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
全員提出

年末調整の基本となる書類。全員が提出必須。扶養親族・配偶者・障害者控除などを申告する。

記入するもの
  • 本人の氏名・住所・マイナンバー
  • 控除対象配偶者の氏名・年収
  • 扶養親族(子ども・親など)の氏名・年収・続柄
  • 障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に該当する場合
  • 他の会社でも給与を受けていないかの確認
16歳未満の子どもは扶養控除の対象外だが、住民税の非課税判定に使うので記入を。
令和8年分の様式そのものに新しい記入欄はない。ただし令和8年12月1日以後、扶養親族などの所得要件が合計所得62万円以下(給与収入136万円以下)に緩和されたため、これで新たに要件を満たす家族がいる人は、この申告書を提出(再提出)しないと扶養控除が受けられない[国税庁 源泉所得税の改正のあらまし]。様式の裏面の注意事項が改正前の金額のままになっている場合があるので、金額は改正後の値で確認する。
②
給与所得者の保険料控除申告書
該当者のみ

生命保険料・地震保険料・iDeCoなどを申告する書類。控除証明書の数値を書き写して計算する。

記入するもの
  • 生命保険料控除(一般・介護医療・個人年金の3区分)
  • 一般の生命保険料の「年齢23歳未満の扶養親族の有無」(令和8年分で新設)と、☆「年齢23歳未満の扶養親族」欄
  • 地震保険料控除
  • 社会保険料控除(国民年金・国民健康保険を自分で払っている場合)
  • 小規模企業共済等掛金控除(iDeCo など)
生命保険料控除証明書は10〜11月に保険会社から郵送される。捨てずにとっておこう。
令和8年分は「生命保険料控除」欄に年齢23歳未満の扶養親族の有無(有/無)の欄と、☆「年齢23歳未満の扶養親族」欄(氏名・生年月日・続柄・合計所得金額の見積額)が新設された[国税庁 年末調整関係書類]。「有」の人は新生命保険料に係る一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に上がり、計算式Ⅱ(30,000円以下=全額/30,000円超60,000円以下=支払保険料 × 1/2 + 15,000円/60,000円超120,000円以下=支払保険料 × 1/4 + 30,000円/120,000円超=一律60,000円)で計算する。3区分の合計上限12万円は変わらない。この特例は夫婦双方が使える[国税庁 昨年と比べて変わった点]。
③
給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
全員提出

4つの申告書が1枚にまとめられた書類。基礎控除は全員が記入。配偶者控除・特定親族特別控除・所得金額調整控除は該当者のみ。令和8年分の様式は令和8年12月1日以後に行う年末調整で使う[国税庁 A2-4]。

記入するもの
  • 基礎控除申告書:本人の合計所得金額の見積り(年収2,500万円超は対象外)
  • 配偶者控除等申告書:配偶者の年間所得の見積り(本人所得1,000万円超は対象外)
  • 特定親族特別控除申告書:19歳以上23歳未満の親族の合計所得の見積り(62万円超123万円以下=給与収入136万円超197万円以下なら63万円〜3万円の9段で控除)
  • 所得金額調整控除申告書:年収850万円超で子育て中・特別障害者等の場合
本人の合計所得金額(見積り)令和8年分の基礎控除額
489万円以下104万円
489万円超〜655万円以下67万円
655万円超〜2,350万円以下62万円
2,350万円超〜2,400万円以下48万円
2,400万円超〜2,450万円以下32万円
2,450万円超〜2,500万円以下16万円
令和7年分の5段(95万円・88万円・68万円・63万円・58万円)から3段に整理された。年収だけで判断せず「所得」で確認する[国税庁 令和8年分 様式]。
④
住宅借入金等特別控除申告書(2年目以降)
住宅ローンがある人のみ

住宅ローン控除の2年目以降は税務署から届く証明書を使って年末調整で申告できる。初年度のみ確定申告が必要。

必要なもの
  • 税務署から届く「住宅借入金等特別控除証明書」(初回のみ10年分まとめて届く)
  • 金融機関から届く「住宅ローン年末残高等証明書」
残高証明書は11月頃に金融機関から郵送。紛失した場合は金融機関に再発行を依頼できる。

基礎控除・配偶者控除

「③ 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書」に記入する内容です。基礎控除は全員が対象、配偶者控除は配偶者の収入によって判定します。以下は令和8年分(令和8年12月に行う年末調整)の金額です[国税庁 令和8年分 様式]。

基礎控除(全員対象)

本人の合計所得金額(見積り)基礎控除額年収換算の目安
489万円以下104万円年収約665万円以下
489万円超〜655万円以下67万円年収約665万円超〜850万円
655万円超〜2,350万円以下62万円年収850万円超〜約2,545万円
2,350万円超〜2,400万円以下48万円年収約2,595万円以下
2,400万円超〜2,450万円以下32万円—
2,450万円超〜2,500万円以下16万円—
2,500万円超0円(適用なし)年収約2,695万円超

※ 令和7年分は2,400万円以下が一律58万円だったが、令和8年分は所得に応じて104万円・67万円・62万円の3段になった。申告書の「控除額の計算」欄で自分の行にチェックし、区分Ⅰ(A〜C)と基礎控除の額を書き写す[国税庁 源泉所得税の改正のあらまし]。

配偶者控除・配偶者特別控除の判定

本人の合計所得が
1,000万円以下ですか?
はい
↓
配偶者の所得を確認
いいえ(1,000万円超)
↓
配偶者控除・
配偶者特別控除なし
↓(本人所得1,000万円以下の場合)
配偶者の合計所得(年収換算)控除の種類控除額(本人所得900万円以下)
62万円以下・70歳以上(年収136万円以下)配偶者控除(老人控除対象配偶者)48万円
62万円以下・70歳未満(年収136万円以下)配偶者控除38万円
62万円超〜95万円以下(〜年収169万円)配偶者特別控除38万円
95万円超〜100万円以下(〜年収174万円)配偶者特別控除36万円
100万円超〜105万円以下(〜年収179万円)配偶者特別控除31万円
105万円超〜110万円以下(〜年収184万円)配偶者特別控除26万円
110万円超〜115万円以下(〜年収189万円)配偶者特別控除21万円
115万円超〜120万円以下(〜年収194万円)配偶者特別控除16万円
120万円超〜125万円以下(〜年収199万円)配偶者特別控除11万円
125万円超〜130万円以下(〜年収204万円)配偶者特別控除6万円
130万円超〜133万円以下(〜年収207万円)配偶者特別控除3万円
133万円超(年収207万円超)対象外0円

※ 本人の合計所得が900万円超1,000万円以下の場合、控除額は上記より小さくなります。申告書の「判定」欄は①62万円以下かつ70歳以上/②62万円以下/③62万円超95万円以下/④95万円超133万円以下の4区分で、区分Ⅰ(A〜C)との組み合わせで控除額が決まります[国税庁 令和8年分 様式]。

計算例:年収600万円・配偶者がパート年収100万円の場合
本人の合計所得(600万年収の場合)約436万円(給与所得控除164万円引き後)
配偶者の合計所得(年収100万円)26万円(給与所得控除74万円引き後)
配偶者の所得(26万円)は62万円以下?→ はい → 配偶者控除が適用
配偶者控除額38万円
節税効果(所得税率20%+住民税10%)約114,000円
令和8年分からは「136万円の壁」(改正前は123万円)。配偶者の給与収入が136万円を超えると配偶者控除(38万円)が使えなくなるラインです。ただし「配偶者特別控除」は給与収入207万円まで段階的に適用されます[国税庁 源泉所得税の改正のあらまし]。

生命保険・地震保険控除

「② 保険料控除申告書」に記入します。10〜11月頃に保険会社から届く控除証明書の数値をそのまま転記するだけです。

生命保険料控除の3区分と上限

一般生命保険料控除

死亡保険・養老保険・終身保険・学資保険など。

控除限度額
4万円
(23歳未満の扶養親族がいる人は6万円)
介護医療保険料控除

医療保険・がん保険・介護保険・就業不能保険など。

控除限度額
4万円
個人年金保険料控除

「個人年金保険料税制適格特約」が付いた個人年金保険。

控除限度額
4万円
3区分の合計控除上限:12万円

控除額の計算方法(2012年以降の新契約)

年間の支払保険料控除額の計算式
20,000円以下支払保険料全額
20,000円超〜40,000円以下支払保険料 × 1/2 + 10,000円
40,000円超〜80,000円以下支払保険料 × 1/4 + 20,000円
80,000円超一律 40,000円(上限)
令和8年分:23歳未満の扶養親族がいる人は一般枠の上限が6万円

令和8・9年分は、年齢23歳未満の扶養親族(合計所得の見積りが62万円以下=給与収入136万円以下)がいる人にかぎり、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に上がります。上の表の代わりに計算式Ⅱ(30,000円以下=全額/30,000円超60,000円以下=支払保険料 × 1/2 + 15,000円/60,000円超120,000円以下=支払保険料 × 1/4 + 30,000円/120,000円超=一律60,000円)を使います。3区分の合計上限12万円は変わりません[国税庁 昨年と比べて変わった点]。

  • 申告書では「年齢23歳未満の扶養親族の有無」を「有」にし、☆欄に対象の子1人の氏名・個人番号・生年月日・続柄・合計所得金額の見積額を書く(2人以上いてもどちらか1人でよい)。
  • ②欄と⑤欄を記入し、㋑欄には⑤欄の金額を書く(①欄・④欄は使わない)。
  • 夫婦双方がこの特例を使える(扶養親族1人につき世帯で1人だけ、という制限がない)[国税庁 令和8年分 保険料控除申告書]。
計算例:生命保険(死亡保険)月5,000円+医療保険月3,000円を払っている場合
一般生命保険料(月5,000円×12)60,000円
一般生命保険料控除額(60,000×1/4+20,000)35,000円
介護医療保険料(月3,000円×12)36,000円
介護医療保険料控除額(36,000×1/4+20,000)29,000円
合計控除額64,000円
節税効果(税率20%+住民税10%)約19,200円
申告書には保険会社が送ってくる「控除証明書」の「申告額」欄を転記するだけ。自分で計算する必要はほぼありません。

地震保険料控除

地震保険料控除
地震保険・火災保険の地震特約の保険料が対象。賃貸住まいでも家財保険に地震特約があれば申告可能。
控除限度額
50,000円
(支払保険料の全額。上限5万円)

※ 旧長期損害保険料(2006年12月31日以前契約)は別枠で最大15,000円の控除あり。証明書の区分を確認すること。

iDeCo・住宅ローン控除

iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は全額が所得控除になります。「② 保険料控除申告書」の「小規模企業共済等掛金控除」欄に記入します。

証明書の入手方法

iDeCoを運営する金融機関から10〜11月頃に「小規模企業共済等掛金払込証明書」が郵送される。紛失したら金融機関に再発行を依頼。

記入する箇所

「② 保険料控除申告書」の最下部にある「小規模企業共済等掛金控除」欄に、証明書に記載の「当年の掛金額合計」を記入するだけ。

会社員の上限額

月23,000円(年276,000円)。企業型DCに加入していない場合。企業型DC加入者は月20,000円(年240,000円)。

計算例:年収500万円・iDeCo月12,000円(年間144,000円)を積み立てている場合
年間iDeCo掛金144,000円(月12,000円×12)
課税所得の減少-144,000円
所得税の節税(税率20%)28,800円
住民税の節税(10%)14,400円
年間節税額(掛金の30%が実質節税)43,200円
積み立てた掛金の30%相当が節税になるため、実質的に月12,000円の積み立てが月8,400円相当のコストで済む計算になります。

住宅ローン控除(2年目以降の年末調整)

住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で申告できます。「④ 住宅借入金等特別控除申告書」に記入します。

1
税務署から届く控除証明書を確認

初年度の確定申告後、税務署から最大13年分の「住宅借入金等特別控除証明書」が一括で送付される。毎年1枚ずつ使用する。

2
金融機関から年末残高証明書を受け取る

ローンを組んだ金融機関から毎年10〜11月頃に「住宅ローン年末残高等証明書」が届く。電子発行の場合はダウンロードが必要。

3
申告書に年末残高と控除額を記入

「住宅借入金等特別控除申告書」に残高証明書の金額を記入。控除額(残高×0.7%)が自動計算される欄に記入して会社に提出。

住宅の種類借入限度額控除率最大年間控除額控除期間
認定長期優良・低炭素住宅5,000万円0.7%35万円13年
ZEH水準省エネ住宅4,500万円0.7%31.5万円13年
省エネ基準適合住宅4,000万円0.7%28万円13年
その他の住宅3,000万円0.7%21万円10年
中古住宅(一般)2,000万円0.7%14万円10年

※ 2024年以降入居の場合。子育て世帯・若者夫婦世帯は借入限度額が上乗せされる場合あり。適用期限は令和8年度税制改正で令和12年12月31日入居まで5年延長された[国税庁 源泉所得税の改正のあらまし]。

控除しきれない場合は住民税から差し引かれる

年間控除額が所得税額を上回る場合、差額は翌年の住民税(上限97,500円/年)からも控除されます。税額が少ない人でも控除の恩恵を受けられます。

‍‍扶養控除・ひとり親控除

「① 扶養控除等申告書」に記入します。子ども・親・祖父母などを養っている場合や、障害者・ひとり親に該当する場合は控除が受けられます。

扶養控除の控除額

扶養親族の区分条件控除額
一般の扶養親族16歳以上・合計所得62万円以下(給与収入136万円以下)38万円
特定扶養親族19歳以上23歳未満(大学生等)・合計所得62万円以下63万円
老人扶養親族(同居以外)70歳以上の親族48万円
老人扶養親族(同居)70歳以上・同居の親58万円
16歳未満の子ども合計所得62万円以下(扶養控除の対象外)0円(住民税計算には影響)

ひとり親控除・寡婦控除

‍ひとり親控除
控除額:35万円

婚姻歴を問わず、生計を同じにする子(合計所得62万円以下)がいる未婚・離婚・死別の親。本人の年間所得が500万円以下が条件。控除額が38万円に上がるのは令和9年分以後で、令和8年分の年末調整は35万円のまま[国税庁 源泉所得税の改正のあらまし]。

寡婦控除
控除額:27万円

離婚・死別後に再婚していない女性で、子以外の扶養親族がいるか、亡くなった夫の妻だった場合。本人の年間所得が500万円以下。

障害者控除
控除額:27〜75万円

本人または扶養親族が障害者の場合。一般障害者27万円・特別障害者40万円・同居の特別障害者は75万円。

勤労学生控除
控除額:27万円

大学・専門学校などに在学中で、合計所得が89万円以下(給与収入163万円以下。うち給与所得等以外の所得が10万円以下)の場合。令和8年分から85万円以下(給与収入150万円以下)から引き上げられた[国税庁 源泉所得税の改正のあらまし]。

計算例:年収600万円・大学生(20歳)の子どもがいる場合の特定扶養控除
特定扶養控除額(19〜22歳)630,000円
所得税の節税(税率20%)126,000円
住民税の節税(控除45万円×10%)45,000円
年間節税合計171,000円‍‍
大学生の子どもがアルバイトで年収136万円(所得62万円)を超えると特定扶養親族から外れます。ただし令和8年分は、給与収入136万円超197万円以下(合計所得62万円超123万円以下)なら特定親族特別控除として63万円〜3万円が受けられます(③の申告書で申告)[国税庁 令和8年分 様式]。
扶養の「年収136万円の壁」に注意

令和8年分から、配偶者・子ども・親など扶養に入れている家族の給与収入が年間136万円を超えると扶養控除(または配偶者控除)の対象外になります(改正前は123万円)[国税庁 源泉所得税の改正のあらまし]。特に学生のアルバイト収入はシーズンごとに確認する習慣を持ちましょう。扶養を外れると本人の税金が増えます。

申告書の書き方・手順

年末調整の書類は11月〜12月に会社から配布されます。以下の順番で記入し、期限内に会社に提出しましょう。

10〜11月
STEP 1 | 控除証明書・書類の収集

各種控除証明書が届いたらすぐにひとつにまとめておきます。年末調整書類と一緒に会社に提出します。

生命保険料控除証明書:保険会社から10〜11月に郵送(電子発行もあり)
地震保険料控除証明書:損害保険会社から秋頃に郵送
iDeCoの掛金払込証明書:金融機関から10〜11月に郵送
住宅ローン年末残高証明書:金融機関から10〜11月に郵送
国民年金・国民健康保険の支払証明書:自分で払っている場合のみ
↓
11〜12月
STEP 2 | ① 扶養控除等申告書を記入

最初に記入するのが扶養控除等申告書です。ほぼ毎年内容が変わらないケースが多いですが、家族の状況変化があれば更新します。

本人情報

氏名・住所・マイナンバーを記入。押印は不要(マイナンバー確認書類は会社が管理)。

控除対象配偶者

配偶者の氏名・生年月日・マイナンバー・本年の所得見積額を記入。合計所得62万円以下(パート年収136万円以下)なら「控除対象配偶者」として記入。

扶養親族

16歳以上の扶養家族(子・親など)の氏名・続柄・生年月日・所得見積額を記入。19〜22歳の子どもは合計所得62万円以下なら「特定扶養親族」の欄に記入すると63万円控除になる。

障害者・ひとり親等

該当する区分にチェック。障害者手帳の等級・ひとり親の条件を確認してから記入する。

↓
11〜12月
STEP 3 | ② 保険料控除申告書を記入

生命保険・地震保険・iDeCoの控除証明書を見ながら記入します。証明書には「申告額」が記載されているため、基本的にその数値を転記するだけです。

生命保険料控除

一般・介護医療・個人年金の3区分それぞれに保険会社名・保険の種類・申告額を記入。区分が不明な場合は証明書の「控除区分」を確認。

地震保険料控除

地震保険(旧長期損害保険と区分が分かれる)の年間保険料を記入。証明書の「対象保険料等の額」を転記する。

iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)

払込証明書に記載の「当年の掛金累計額」を記入する。全額控除なので計算不要。

↓
11〜12月
STEP 4 | ③ 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書を記入

全員が提出する書類です。本人の「今年の合計所得の見積り」を計算して記入するのが主な作業です。

合計所得の見積り(基礎控除申告書)

給与収入だけの人は「給与所得の計算表」で確認。給与収入500万円なら所得約356万円。合計所得の見積額を書いたうえで「控除額の計算」欄にチェックし、区分Ⅰ(A〜C)と基礎控除の額を記入する。

配偶者の所得見積り(配偶者控除等申告書)

配偶者がいる場合、配偶者の今年の合計所得の見積り額を記入。パート収入のみなら「年収 − 74万円(給与所得控除の最低保障額)」が所得の目安(令和8年分から65万円が74万円に引き上げ)。

↓
11〜12月
STEP 5 | ④ 住宅ローン控除申告書を記入(該当者のみ)

住宅ローンがある場合(2年目以降)、「住宅借入金等特別控除申告書」と「年末残高証明書」を一緒に提出します。

申告書の「居住開始年月日」「ローン残高」「控除可能額」を年末残高証明書を見ながら記入
2棟目・増改築など複数のローンがある場合は会社の担当者に相談する
控除証明書を紛失した場合、国税庁「確定申告書等作成コーナー」から再発行申請可能
↓
締切まで
STEP 6 | 会社への提出

記入した申告書と控除証明書をまとめて会社の担当者に提出します。電子申告に対応している会社では、PDF やシステム上での提出になる場合があります。

控除証明書の原本は会社が保管するため、手元に残らない(コピーを取っておくと安心)
締め切り後に内容の変更が生じた場合はすぐに担当者に相談する
年末調整が終わると源泉徴収票が発行される(1〜2月頃)

令和8年分の記入手順

令和8年分の様式は令和8年12月1日以後に行う年末調整で使います。③の申告書は書く順番が決まっているので、国税庁の記載例と見比べながら進めるのが確実です。

1. 基礎控除申告書

給与の収入金額を書く → 給与所得の金額を出す → 給与以外の所得を足して「本年中の合計所得金額の見積額」を出す → 「控除額の計算」欄で該当する行にチェック → 区分Ⅰ(A〜C)と基礎控除の額を書き写します。基礎控除は合計所得489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円、655万円超2,350万円以下で62万円。区分Ⅰは所得900万円以下がA、900万円超950万円以下がB、950万円超1,000万円以下がCです[国税庁 令和8年分 様式]。記載例(令和8年分)

2. 配偶者控除等申告書

本人の合計所得の見積りが1,000万円以下で、かつ配偶者の合計所得の見積りが133万円以下のときだけ書きます。それ以外の人(合計所得2,500万円以下)は基礎控除申告書だけでよい。「判定」欄で①62万円以下かつ70歳以上/②62万円以下/③62万円超95万円以下/④95万円超133万円以下のどれかを選び、区分Ⅰ×区分Ⅱのマトリクスで控除額を出します。

3. 特定親族特別控除申告書

19歳以上23歳未満(平16.1.2生〜平20.1.1生)の親族で、合計所得の見積りが62万円超123万円以下(給与収入136万円超197万円以下)の人がいれば書きます。氏名・続柄・生年月日・合計所得金額の見積額を書き、控除額(62万円超85万円以下=63万円…120万円超123万円以下=3万円の9段)を記入します。同じ子を2人以上の所得者が申告することはできません。

4. 所得金額調整控除申告書

年末調整の対象となる給与の収入金額が850万円以下なら記入不要です。23歳未満の扶養親族がいる要件で受ける場合は☆欄だけ、特別障害者の要件で受ける場合は☆欄と★欄を書きます。2つ以上に該当してもどれか1つでよい。

5. 保険料控除申告書の☆欄

一般の生命保険料(新契約)があり、かつ23歳未満の扶養親族がいる人は「年齢23歳未満の扶養親族の有無」を「有」にして☆欄を記入し、②欄・⑤欄を書いて㋑欄には⑤欄の金額を入れます(①欄・④欄は使いません)。記載例(令和8年分)

※ 扶養控除等(異動)申告書の書き方は令和8年分の記載例で確認できます[国税庁 令和8年分 年末調整のしかた]。

よくあるミスと対処法

年末調整での失敗パターンと対処法をまとめました。締め切り後でも修正できるケースがほとんどです。

01
保険料控除証明書を出し忘れた(捨ててしまった)
問題

控除証明書を提出し忘れると、生命保険料控除・iDeCoなどが適用されず税金を余分に払うことになります。

対処法

会社への提出期限内なら担当者に申し出て追加提出する。年末調整が終わった後なら翌年2〜3月に確定申告で控除を申請すれば還付を受けられます(5年以内)。証明書を紛失した場合は保険会社・金融機関に再発行を依頼できます。

02
配偶者・子どもの収入を確認しなかった
問題

配偶者やアルバイトの子どもが扶養の収入ラインを超えていたのに申告書に記載してしまうと、実際には控除が受けられず後で追徴される場合があります。

対処法

申告書を記入する前に配偶者・扶養家族の年収見込みを確認する。10〜12月のアルバイト収入が多い場合は、年内の総額が136万円(令和8年分の扶養の所得要件。改正前は123万円)を超えないか注意する。超えそうなら会社の担当者に相談して申告書を修正する。

03
住宅ローン控除証明書を年数分使い間違えた
問題

税務署から10年分(または13年分)一括で交付される控除証明書を誤って使ったり、紛失すると手続きが複雑になります。

対処法

毎年使う分だけ取り出し、残りは大切に保管する。紛失した場合は最寄りの税務署で「住宅借入金等特別控除証明書の交付申請書」を提出すれば再発行できます。

04
年末調整書類の提出を忘れた(提出期限を過ぎた)
問題

会社への提出期限を過ぎると年末調整に間に合わず、控除が反映されないまま源泉徴収票が発行されます。

対処法

会社が年末調整の計算を済ませる前(通常12月中旬まで)なら遅れても受け付けてもらえる場合がある。間に合わなければ翌年に確定申告で控除を申請して還付を受けることができます(5年以内)。

05
副業の収入を会社に知られてしまった
問題

年末調整では副業の申告はできません。副業収入を確定申告した際に住民税の処理を誤ると、会社に副業がバレることがあります。

対処法

確定申告書の住民税欄で「自分で納付(普通徴収)」を選択する。副業収入に関する申告は年末調整ではなく確定申告で行うため、年末調整の書類には副業の内容を記入しなくてよい。

06
生命保険の「区分」を間違えて記入した
問題

生命保険料控除の3区分(一般・介護医療・個人年金)を間違えると、控除額が正しく計算されず損をする場合があります。

対処法

控除証明書の「保険の種類」または「控除区分」欄を確認する。「医療・介護」とあれば「介護医療」区分、「年金」とあれば「個人年金」区分。不明な場合は保険会社のコールセンターに確認するのが確実です。

年末調整の年間スケジュール
9〜10月

• 扶養家族の年収見込みを確認

• 配偶者のパート収入が136万円を超えないか確認

10〜11月

• 生命保険料控除証明書が届く

• iDeCo 掛金払込証明書が届く

• 住宅ローン残高証明書が届く

11〜12月初旬

• 会社から年末調整書類が配布される

• 申告書を記入して会社に提出

• 控除証明書を一緒に提出

12月

• 会社が年末調整計算を実施

• 12月給与で還付または追徴

• 翌年1月給与での還付の会社もあり

翌年1〜2月

• 会社から源泉徴収票が発行される

• 内容を確認(特に控除額・税額)

• 確定申告が必要な人は準備を開始

翌年2〜3月

• 医療費控除等は確定申告で申請

• 年末調整で申告し忘れた控除も確定申告で対応可

よくある質問

年末調整で受けられない控除は?

医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ未利用分)・住宅ローン控除の初年度・雑損控除などは年末調整では受けられず、自分で確定申告します。

控除証明書を出し忘れたら?

勤務先の年末調整に間に合わなくても、翌年に自分で確定申告(還付申告)すれば控除を受けられます。還付申告は5年以内まで可能です。

住宅ローン控除は年末調整でできる?

初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は会社に「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」と「年末残高証明書」を提出すれば年末調整で受けられます。