年収1000万円の税金と手取り|控除のしくみをグラフで解説

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税金の基本

年収1000万円の税金と手取り|控除のしくみをグラフでやさしく解説

「年収1000万円」と聞くと余裕がありそうですが、実際の手取りはおよそ720万円前後。残りの約280万円は社会保険料・所得税・住民税として引かれます。この記事では、年収1000万円の会社員をモデルに、給与所得控除・所得控除(基礎控除・社会保険料控除)・所得税・住民税・住宅ローン控除がどう関わって手取りが決まるのかを、計算の流れとグラフで一つずつ整理します。

最初に押さえる超重要ポイント:「控除」には2種類ある。
所得を減らす控除(給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除など)=税金を計算する“もとの金額”を小さくする。
税金を直接減らす控除(住宅ローン控除など=税額控除)=計算後の税金そのものから引く。
同じ「控除」でも効き方がまったく違います。これが分かると一気に理解しやすくなります。

モデルケースの前提

この記事の試算の前提(すべて概算)
  • 会社員・給与収入のみ=年収1,000万円(額面)
  • 独身・扶養親族なし(配偶者控除・扶養控除は使わない例)
  • 協会けんぽ(東京)・40歳未満(介護保険料なし)・賞与あり
  • 2025年(令和7年)以降の制度(基礎控除などの改正後)
  • 金額は概算・目安。賞与の配分・健康保険組合・地域・各種控除で変わります

※配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除・iDeCoなどを使えば、税額はこの例よりさらに下がります。ここでは仕組みを分かりやすくするため、最小限の控除で計算します。

まず全体像:年収1000万円の手取りと内訳

年収1,000万円(額面)は、ざっくり次のように分かれます(住宅ローン控除なしの場合の概算)。

年収1,000万円の内訳(概算・住宅ローン控除なし)
手取り 約718万社保 140万所得税 80万住民税 62万
出典:本文の計算(国税庁・総務省・協会けんぽの公表値をもとにした概算)
手取り 約718万円 社会保険料 約140万円 所得税 約80万円 住民税 約62万円
「給与所得控除」や「基礎控除」はこのグラフに出てこない

実際に手元から引かれるのは社会保険料・所得税・住民税の3つだけです。給与所得控除や基礎控除は“お金が引かれる”のではなく、税金を計算するときに所得を小さくするための控除。つまり税額を下げる方向に効きます。次の章から順に見ていきます。

ステップ1:給与所得控除(年収から引く・上限195万円)

会社員には「経費」の代わりに給与所得控除があり、年収から自動で差し引かれます。ただし年収が高いほど頭打ちで、年収850万円を超えると一律195万円が上限です[国税庁 No.1410]。2025年(令和7年)の改正で最低保障額が55万円→65万円に上がりましたが、これは主に低〜中収入の人向けで、年収1000万円の上限195万円は変わりません[国税庁 令和7年改正]

給与所得=年収−給与所得控除
1,000万円 − 195万円 = 給与所得 805万円

※23歳未満の扶養親族がいるなど一定の場合は「所得金額調整控除」(年収850万円超で最大15万円)でさらに給与所得が下がります[国税庁 No.1411]。本記事の独身モデルでは使いません。

ステップ2:所得控除(社会保険料控除+基礎控除)

給与所得からさらに引けるのが所得控除です。年収1000万円のモデルで主に効くのは次の2つです。

① 社会保険料(約140万円・天引き)→ 全額が控除に

健康保険・厚生年金・雇用保険の本人負担分は、年収1000万円で概算およそ140万円(協会けんぽ東京・40歳未満・賞与込みの目安)。実際に給与から天引きされるお金ですが、支払った全額が「社会保険料控除」として所得から引けます。

社会保険料は金額が大きく、個人差も大きい

厚生年金は標準報酬月額65万円が上限のため高年収では頭打ちですが、賞与にもかかります。賞与の配分・加入する健康保険組合・地域・年齢(40歳以上は介護保険料が加わる)で、おおむね125万〜150万円の幅があります。正確な額は給与明細・ねんきん等でご確認ください。

② 基礎控除(所得税58万円/住民税43万円)

だれでも引ける基礎控除。2025年(令和7年)改正で所得税の基礎控除が見直され、合計所得655万円超〜2350万円以下は58万円です(改正前48万円)[国税庁 令和7年改正]。年収1000万円(給与所得805万円)はこの区分にあたります。一方、住民税の基礎控除は43万円で据え置き(引き上げなし)です[総務省]。所得税と住民税で金額が違う点に注意します。

所得税の所得控除(このモデル)
社会保険料控除 140万円 + 基礎控除 58万円 = 198万円

控除の大きさを比べてみる

年収1000万円で効く主な控除を並べると、給与所得控除と社会保険料控除が大きく、基礎控除がそれに続きます。

主な控除額の比較(年収1,000万円・概算)
195万給与所得控除140万社会保険料控除58万基礎控除(所得税)43万基礎控除(住民税)
出典:国税庁・総務省の公表値(社会保険料控除は概算)

ステップ3:課税所得から所得税を計算

給与所得805万円から所得控除198万円を引くと、税率をかける課税所得が出ます。

課税所得(所得税)
805万円 − 198万円 = 607万円

所得税は累進課税で、課税所得607万円は「330万円超〜695万円以下=税率20%・控除額42万7,500円」の区分です[国税庁 No.2260]

所得税額(復興特別所得税2.1%込み)
607万円 × 20% − 42.75万円 = 約78.7万円
×1.021 = 所得税 約80万円

ステップ4:住民税(所得割10%+均等割)

住民税は、所得に対して一律10%の所得割+定額の均等割(約5,000円)です。基礎控除が43万円と所得税より小さいため、課税所得は所得税より少し大きくなります[総務省]

住民税(このモデル・概算)
課税所得:805万 −(社保140万+基礎43万)= 622万円
所得割:622万円 × 10% = 約62万円(+均等割約5,000円)
住民税は「前年の所得」に対して翌年かかる

住民税は後払いです。2025年の年収に対する住民税は、2026年6月〜2027年5月にかけて支払います。転職・退職で収入が下がった翌年に住民税が重く感じるのはこのためです。住民税のしくみは住民税の仕組みと計算で詳しく解説しています。

ステップ5:住宅ローン控除(税金を“直接”減らす)

ここまでの控除は「所得を減らす」ものでしたが、住宅ローン控除は計算後の税額そのものから引く「税額控除」です。効き目が大きいのが特徴です。年末のローン残高×0.7%が、原則13年間、所得税(引ききれない分は住民税)から差し引かれます[国土交通省]

所得控除

所得を小さくする

給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除など。税率を掛ける前の所得を減らすので、節税効果は「控除額×税率」。

税額控除

税金を直接引く

住宅ローン控除など。計算後の税金から満額引けるので、同じ金額でも効き目が大きい(控除額がそのまま減税額)。

住宅ローン控除の例(省エネ住宅・年末残高3,000万円)
3,000万円 × 0.7% = 21万円/年 を所得税から控除
所得税 約80万円 − 21万円 = 約59万円

※住宅ローン控除には所得要件があり、合計所得2,000万円以下が対象(令和4年改正で3,000万円から引き下げ)[財務省]。年収1000万円(合計所得805万円)は対象です。借入限度額は住宅の省エネ性能や子育て世帯かどうかで変わります。詳しくは住宅ローン控除ガイドへ。

住宅ローン控除のシミュレーション例(物件タイプ別)

住宅ローン控除は物件のタイプ(新築/中古)・省エネ性能・子育て世帯かどうかで「借入限度額」と「控除期間」が変わります。2025年(令和7年)入居のモデルで、年収1000万円の人が組んだ場合の初年度のおおよその控除額(年あたり)を比べてみます[国税庁 No.1211-1]

物件タイプ別・住宅ローン控除の初年度控除額(年あたり・概算)
21万新築戸建て省エネ・一般31.5万新築戸建てZEH・子育て35万新築戸建て認定・子育て21万中古マンション省エネ14万中古マンション一般
出典:国税庁 No.1211-1・財務省・国土交通省(2025年入居・初年度の概算)
物件タイプ性能(世帯)借入額の例控除対象
限度額
控除
期間
初年度の
控除額/年
新築戸建て省エネ基準適合(一般)3,500万円3,000万円13年約21万円
新築戸建てZEH水準(子育て世帯)4,500万円4,500万円13年約31万円
新築戸建て認定長期優良(子育て世帯)5,000万円5,000万円13年約35万円
中古マンション省エネ基準適合3,000万円3,000万円10年約21万円
中古マンション一般(性能の証明なし)2,500万円2,000万円10年約14万円

※初年度の控除額は「年末残高(借入限度額が上限)×0.7%」の概算。借入額が限度額を超える分は控除対象になりません(例:新築省エネ一般は借入3,500万でも限度額3,000万までが対象)。「子育て世帯・若者夫婦世帯」=入居年末に19歳未満の子がいる、または夫婦のいずれかが40歳未満。上乗せ限度額は新築・買取再販のみで、中古(既存住宅)は控除期間10年・上乗せなしです。省エネ基準を満たさない新築は原則対象外(2024年以降入居)。

年収1000万円なら控除を「満額」使い切れる

上の控除額(年14万〜35万円)は、いずれも年収1000万円の所得税(約80万円)の範囲内です。つまり所得税だけで満額引き切れます。所得税が少ない人は控除しきれず一部を住民税から引く(または使い切れない)ことがありますが、年収1000万円層は住宅ローン控除の効果をフルに受けやすい層です。

「初年度×年数」が総額ではない

各年の控除額はその年の年末残高×0.7%です。残高は返済で年々減るため、控除額も少しずつ下がります。13年(中古は10年)の合計額は借入額・金利・返済期間で変わるので、正確な試算は金融機関のシミュレーションや住宅ローン控除ガイドでご確認ください。

計算の流れ(全体図)

年収 1,000万円額面(給与収入)
− 給与所得控除 195万円(上限)
給与所得 805万円
− 所得控除 198万円(社会保険料140万+基礎控除58万)
課税所得 607万円
× 20% − 42.75万円(速算表)→ 復興税2.1%
所得税 約80万円
− 住宅ローン控除 21万円(税額控除)
所得税(納付)約59万円+ 住民税 約62万円(別途・前年所得に課税)

※住宅ローン控除を使わない場合の所得税は約80万円。手取りは住宅ローン控除なしで約718万円、ありで約739万円が目安です。

まとめ:手取りを増やすには

給与所得控除年収850万円超は195万円で頭打ち
社会保険料概算約140万円。全額が社会保険料控除に
基礎控除所得税58万・住民税43万(2025年改正後)
所得税・住民税概算で所得税約80万・住民税約62万
住宅ローン控除税額控除で効果大。残高×0.7%を直接減税
手取り概算で約718〜739万円

手取りを増やす王道は、「所得控除を増やす(iDeCo・小規模企業共済・各種保険料控除・扶養)」か「税額控除を使う(住宅ローン控除・ふるさと納税の寄附金控除)」のどちらかです。たとえばiDeCoの掛金は全額所得控除、ふるさと納税は実質負担2,000円で寄附額の多くが控除されます。年収1000万円は控除の効果が大きい層なので、使える制度を組み合わせるのが有効です。

よくある質問

年収1000万円の手取りはいくら?

概算でおよそ718万円前後(住宅ローン控除なし・独身モデル)です。社会保険料約140万円、所得税約80万円、住民税約62万円が引かれます。扶養や各種控除があればさらに手取りは増えます。

なぜ給与所得控除は195万円で止まるの?

給与所得控除は年収が上がるほど割合が下がり、年収850万円を超えると一律195万円が上限になります。2025年の改正は低〜中収入の最低保障額(55万→65万円)を上げたもので、高年収の上限195万円は変わりません。

所得税と住民税で基礎控除が違うのはなぜ?

2025年改正で所得税の基礎控除は58万円(年収1000万円の区分)に上がりましたが、住民税の基礎控除は「地域社会の会費」的な性格から43万円で据え置かれたためです。住民税の課税所得は所得税より少し大きくなります。

住宅ローン控除は所得控除とどう違う?

住宅ローン控除は計算後の税額から直接引く「税額控除」です。所得を減らす所得控除より効き目が大きく、年末残高×0.7%がそのまま減税額になります(所得税で引ききれない分は住民税からも一部控除)。

新築と中古で住宅ローン控除はどう違う?

新築・買取再販は控除期間13年で借入限度額が大きく、省エネ性能に応じて3,000万〜5,000万円(子育て世帯・若者夫婦世帯は上乗せ)。中古(既存住宅)は控除期間10年で、限度額は3,000万円(省エネ等)または2,000万円(一般)で、子育て世帯の上乗せはありません。たとえば新築認定住宅(子育て世帯・借入5,000万円)なら初年度約35万円、中古一般(借入2,500万円)なら約14万円が目安です。

参考リンク(出典)

本記事は次の公的資料をもとに作成しています(中立・一次情報)。税率・控除額は改正されるため、申告前に最新をご確認ください。社会保険料や税額は前提により変わる概算です。

※本記事は一般的な情報提供であり、税務アドバイスではありません。社会保険料・税額は前提により変動します。正確な計算・申告は、税務署または税理士にご相談ください。

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公開日:2026年06月25日 / 執筆:みんなの税金 編集部

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