「住んでいない家に、持っているだけで課税する」——日本初の空き家税が京都市で動き出します。非居住住宅利活用促進税。空き家だけでなく別荘・セカンドハウスも対象で、市の公表では2030年度(令和12年度)から課税開始予定です。先行するバンクーバーは評価額の3%を課税して空き家を半減させ、パリは別宅の住民税を60%割増しています。世界の空き家課税の実績と、京都に実家・別荘を持つ人が今から考えておくべきことを整理します。
仕組み:京都市の「非居住住宅利活用促進税」とは
- 対象:市街化区域内にある「誰も生活の本拠として住んでいない住宅」。放置された空き家だけでなく、別荘・セカンドハウス・使っていない相続実家も含まれます(賃貸中・入居者募集中など利活用されているものは対象外)
- 開始時期:2030年度(令和12年度)から課税開始予定(2030年1月1日時点の利用状況で判定。システム開発などの事情で当初予定から後ろ倒しになりました)
- 税額:固定資産税とは別に、次の2階建てで毎年かかります
| 区分 | 税率(年) |
|---|---|
| 家屋価値割 | 家屋の固定資産評価額 × 0.7% |
| 立地床面積割(土地評価に応じて3段階) | 評価が低い立地:0.15% |
| 中間の立地:0.3% | |
| 評価が高い立地:0.6% |
- 当面の経過措置:家屋の評価額が100万円未満の住宅は、施行後5年間は課税対象外(古い空き家への配慮)
- ざっくり言えば、固定資産税に「空き家のままにしておくペナルティ」が上乗せされるイメージです。詳細な税額は市の公表資料・条例で確認してください
なぜ生まれたか:観光都市の「住宅が買えない」問題
京都市は市街地の広がりが規制で限られる一方、別荘・投資用のセカンドハウス需要が強く、市内で働く子育て世代が家を買えず市外へ流出するという構造問題を抱えてきました。そこで「住まない持ち方」に課税して、売却・賃貸・入居への転換をうながすのがこの税の目的です。2023年に総務大臣の同意を得て、全国初の「空き家税」型の法定外税として成立しました。京都市が先例をつくれば、同様の悩みを持つ観光地・都市部の自治体が続く可能性があります。
世界の先行例:バンクーバーとパリ
| 都市 | 仕組み | 結果 |
|---|---|---|
| バンクーバー(カナダ) | 空き家税(2017年〜)。当初1%→現在は課税評価額の3%を毎年課税 | 市の報告では課税開始から2022年までに空き家が54%減少。税収は低所得者向け住宅に充当。ただし研究者の分析では税の直接効果は約21%の減少とされ、効果の大きさには幅がある |
| パリ(フランス) | 別宅(セカンドレジデンス)の住民税を60%割増。フランスの法律は住宅逼迫地域の自治体に5〜60%の割増を認めており、パリは上限を採用 | パリ市内の住宅の1割超がセカンドハウスとされ、賃貸市場への放出をうながす狙い。空室そのものへの課税(空き家税)も別途存在 |
共通するのは「住宅不足の都市で、住まない持ち方のコストを引き上げる」という発想です。効果は一定確認されている一方、税だけで住宅問題が解決した都市はない、というのも共通の教訓です。
日本の流れ:「持っているだけで安い」時代の終わり
- 2023年の法改正で、管理の悪い空き家(管理不全空家)は固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1軽減)の対象から外せるようになりました。「壊すと税金が上がるから放置」という長年の歪みが是正され始めています。仕組みは固定資産税の計算の記事で解説しています
- そこに京都市の空き家税が加わり、「空き家は持っているだけでコストが増える」方向が国・自治体の両輪ではっきりしました
- 相続した実家を空き家のまま持ち続けている人は、売却なら相続空き家の3000万円特別控除(耐震改修または取り壊しが条件・期限あり)、住んでいた家ならマイホーム売却の3000万円控除という出口優遇があるうちに動くのが定石です
京都に実家・別荘がある人:2030年までの選択肢
- 売る:相続空き家なら3000万円特別控除の適用可否をまず確認。課税開始前は「駆け込み売却」で相場が動く可能性も指摘されています
- 貸す:賃貸に出して入居者がいれば課税対象外です。定期借家契約なら「いずれ自分で使う」余地も残せます
- 住む・使う:生活の本拠として住めば対象外。セカンドハウスのままなら課税を織り込んで維持費を再計算する必要があります
- 放置だけが最悪:空き家税+固定資産税特例の除外+老朽化リスクの三重コストになります。まず家屋の固定資産評価額(毎年の課税明細書に記載)を確認するところからです
今日やること
今日やること
- 京都市(や他の都市)に空き家・別荘・相続予定の実家がある人は、固定資産税の課税明細書で家屋と土地の評価額を確認する
- 相続空き家は3000万円特別控除の条件(相続から3年目の年末までなどの期限)を確認する
- 実家の扱いが未定なら、お盆の帰省で家族と「売る・貸す・使う」の方向性を話しておく
よくある質問
Q. 京都市の空き家税はいつから始まりますか?
A. 市の公表では2030年度(令和12年度)から課税開始予定で、2030年1月1日時点の利用状況で判定されます。システム開発などの事情で当初の予定から後ろ倒しになった経緯があるため、最新のスケジュールは京都市の公式情報で確認してください。
Q. 別荘やセカンドハウスも課税されるのですか?
A. されます。この税の対象は「誰も生活の本拠として住んでいない住宅」で、放置空き家に限りません。ただし賃貸中など利活用されている住宅は対象外です。
Q. 京都市以外にも広がりますか?
A. 未定ですが、京都市の税は総務大臣の同意を得た全国初の事例で、他の自治体が同種の法定外税を設ける際のひな型になります。住宅不足に悩む観光地・都市部で導入論が出る可能性はあります。
Q. 海外の空き家税は効果があったのですか?
A. バンクーバーでは市の報告で課税開始から2022年までに空き家が54%減りました。ただし研究者の分析では税の直接効果は約21%の減少とされ、効果の評価には幅があります。税収を低所得者向け住宅に充てる仕組みも含めて「一定の効果はあるが万能ではない」というのが実情です。
参考リンク(出典)
※ 京都市の税率・開始時期は2026年8月時点の市の公表情報にもとづきます。施行までに変更される可能性があるため、実際の判断は最新の公式情報・専門家への相談のうえ行ってください。







